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「我らは、幸せであったろう?」
真里は、右手に冴月を抱き
左手に萩月を抱き寄せて
問うてみる
萩月はここ暫くの間
無口になっていた
このところの不穏な空気
そして真里の覚悟を
萩月は感じている
真里の静かな深い眸
碧潭を思はする
もともと二人はあまり
饒舌なほうではない
されど二人の間にはいつも
穏やかな心の交流がある
さりながら、時には
饒舌なほうではない
されど二人の間にはいつも
穏やかな心の交流がある
さりながら、時には
声をあげて笑うこともあり
萩月は自分がそうするのが
不思議なおももちがする
萩月は自分がそうするのが
不思議なおももちがする
萩月は思う
こうして笑ったり
真里様が額にかかる前髪を
かきあげるさま
それはなんと心はずむもので
あろうと
真里は思う
それはなんと心はずむもので
あろうと
真里は思う
萩月の鈴のような笑い声
目元の笑い皺
それはなんと心和むもので
あろうと
そして二人、ふと
眸をあげてみれば
愛しいひとが
見詰めていたことに気付く…
もみじの手を広げ
抱っこをせがむ
二人は幸せになる
それはなんと心和むもので
あろうと
そして二人、ふと
眸をあげてみれば
愛しいひとが
見詰めていたことに気付く…
「さえはほんに
そなたに似ておる」
真里は、幼子が
愛しいつまに似ているのが
嬉しうてたまらぬ
「左様でございますか?」
「目元などあなた様に似ていると
桔梗さまが」
萩月も、冴月が
愛しい我が背に似てほしいと
そう願う
萩月も、冴月が
愛しい我が背に似てほしいと
そう願う
冴月が笑う
もみじの手を広げ
抱っこをせがむ
二人は幸せになる
真里の右手には
寝入ってしもうた冴月
伸ばした左手は最初から
寝入ってしもうた冴月
伸ばした左手は最初から
萩月を包み込む形をつくる
「我らは幸せであったろう?」
桜貝を見つめる
それは日々のたつきに
すこうし荒れている
「都におれば…」
「この桜貝のような指は
厨のことも畑仕事も
せずにすんだものを」
萩月はきゅ、と
真里の衣を握りしめ
衣に皺が寄する…
「それが…幸せでございました」
いいえ…
これから先
どのようなことが
起ころうとも
あなたを思って
我は…幸せ
〜西行〜
花と見えて
風に折られて散る波の
桜貝をば寄するなりけり
桜花と見えるのは
慕う思いに折られた指
衣が波のように折られ
桜貝が寄せられる
あなたがいなければ…
たどり着けなかった