健康サンダルでドキドキ
あらぬ疑いをかけられたからといって手を抜く訳にはいかない。
尚一層の精進をしなければ、クレジット会社の思う壺である…とその時は思った。
笑顔絶やさず、セールスし捲り3月もセールストップを貰った。
しかし。翌月突然私のスケジュールに異変が起きた。
派遣会社から『指名が入りました!』と言う。
今私の顧客(場末のスナックみたいだが)の熱心な方は健康サンダルが有力候補だった。
しかし一番遠い支店だった。
『何処ですか?』いくつか思いあたる中で、近い支店だと良いなぁ~と考えても不正疑惑かけられるようなツイていない私には、遠い支店からのご指名だった。
4月に入り今月一杯で、この仕事ともお別れだ!
健康サンダルに会いに行きお礼を行って『立つ鳥後を濁さず』で最終月もトップを狙う!と心に決め、電車を乗り換え健康サンダルのラーメンの小池さんの元へ向かった。
初日シャッターが開くまで待機するべき所に健康サンダルがうろうろしていた。
胡散臭いなぁ
三木助と共に生きて磨き抜かれた勘はハズレなかった。
私の顔を見るや否や…飼い主をやっと見つけた犬のように尻尾が付いていたらちぎれんばかりに振って来るだろう満面の笑みを浮かべ健康サンダルは手揉みしながら近づいて来た。
『おはようございます』と言いながら私は後ずさりしている。
それに対して健康サンダルは、『わざわざご足労戴きありがとうございますm(._.)m』どちらが支店長か知らない人が見たら、あの女の方じゃない…という感じの雰囲気で支店全体も異様な空気だった。
派遣スタッフは一様にエプロン姿だった。
エプロンに対して支店長たる健康サンダルが異様に下手に出ている。
『実は小林さんを見込んでお願いがあります。』…ご足労戴いた上にまだお願いか~
黙って聴いていた。
『今年度の新入行員を育てて戴きたい!』
『はぁ?私派遣ですよ!』見たら解る。
エプロン姿だからだ。
しかし、健康サンダルは『当銀行の行員を育てられるのは貴女しかいない!』ちょうどシャッターが開いた。
『いらっしゃいませ!』と私は逃げる。
健康サンダルはまだいる
お客様を捕まえなければ…慌ててご案内して接客に成功すると、健康サンダルはメモを置いて支店長席に戻って行った。
これって健康サンダルの工場
*イープラス
*ローソンチケット
*H.I.P. http://www.hipjpn.co.jp
Trick or Treat
足元はファーのサンダル!!
審査員のルミナと色違い
ミニLIVE~
操作の仕方が分からなくて
健康サンダル大特売
私は今の仕事が大好きだった。
何より接客が好きたった。
次第に自分の元いた職場が荒んでいくのに堪えられなかった。
しかし疑惑をかけられてまで、お節介を焼く必要は無いと判断して辞めるつもりだったのだ。
それを『貴女を見込んで…』と言われたのでは、『合点承知!』と言う気持ちと『大丈夫かいな?』との疑心暗鬼の板挟みだった。
しかし、よほど忙しい人なのだろう。
後は『宜しくお願いしますm(._.)m我々に力を貸してください。』と深々と頭を下げて行ってしまった。
後に残された人達は『と、言う訳でして…』と多分鶴の一声だったのだろう。
『時給上げるとは言っていましたが、入って2ヶ月での昇給は前例がありませんので…』
マニュアル対応の典型的な方が答えた。
私は時給よりこれから私はなんの仕事をさせられるのか聞きたかったのだ。
『それについては改めて…取りあえず今の無給の一年生指導は無給で続けてください。詳しくはまたご連絡します。本日はお疲れ様でした。』
鳩が豆鉄砲喰らった私を含めた数人は解散した。
翌日健康サンダルに、会談内容を聞かれた。
『全て稟議の銀行の中で、貴女を残すとは、最高の決断だった。時給にしたって、これから彼は人事部に掛け合い、未だ前例のない2ヶ月昇給を認めさせるのでしょうねぇ…貴女には、くだらないかもしれないけれど、時給上げるとは稟議書書いて上司に掛け合い、人事に掛け合う~それだけ本部は貴女を必要と感じたのです。頑張ってください!銀行員魂をこれからも後進に伝えてください。』
健康サンダルは、まるで支店長のような威厳で言った。
いつもは、しもべのラーメンの小池さんはちょっと立派だった。